PRは依頼か
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チーム開発で心がけている細かい話
GitHub のような VCS プラットフォームを使っていると, Pull Request を使ってチーム開発を行っているところがほとんどだろうと思う.
Pul Request は PR とかプルリクとか呼ばれ,コードベースに対してまとまった機能変更を「取り込んでほしい」と依頼(Request)する仕組みである.
Pull Request(くだくだしいので以下 PR と書く) の Pull はもともと git の pull command からきており,すなわち「こっちの repository から機能を pull してくれよ」と要求するというニュアンスだと理解している.
https://opensource.stackexchange.com/questions/352/what-exactly-is-a-pull-request
で,ここからは日本語のニュアンスの話になる.
request は日本語にすると「頼み」「依頼」「要求」あたりに訳されると思うが,PR を「依頼」や「要求」のように捉えるのはなんだかいわゆる「仕事」の意味合いが薄くなってしまうような気がする.GitHub 自体は必ずしも業務向けのツールではないとはいえ,ぼくも含めて日々の業務で,「仕事をしている」感を求める人は少なくないはずだ.
仕事として機能開発を行い,その成果をコードベースに取り込んでほしいと「依頼」する.そんなに不自然ではない.ないんだけど, PR の性質を考えるといまいちしっくりこない気がする.
PR を「依頼」したあと,そのままコードベースに取り込まれるかというと,たいていの場合,PR で提出したコードについてレビューが行われる.場合によっては差し戻されたり,さんざん議論した上で仕切り直しましょうかとなって reject されたりする.
提出した機能が気軽に却下(reject)されうるのは,VCS プラットフォームの最大の強みの一つだと思う.
議論のすえ,より洗練されたかたちがある,または,この解決方法は筋がよくない,または既存コードベースと比較して受け入れがたい変更であるなどの判断がくだされる.そうしたみちすじをたどることでよりよいプロダクト開発につながるし,まったく健全なことだと思う.
こういう議論のみちすじをもふくめて PR を考えるとやはり日本語だと「依頼」はちょっと言葉足らずじゃないかなぁ.
日本のビジネス用語に照らして考えると,この流れは「提案」と呼ぶとしっくりくる.
ビジネスの起点は「提案」であり,よい提案であれば受け入れられ案件化するし,筋がいまいちであれば失注ということになる.
翻ってぼくらの日々の業務を考えると,まさしくぼくらは「提案」を日常的にしており,PR を書くというのが日々のその実体である.
なので,ぼくは PR を提出することを「提案する」と呼び習わしている.
直訳ベースで考えると稍奇異な気もするが,日本の商習慣に照らすとこちらのほうが業務的にしっくりくるんじゃないかなと考えている.