about fountain pen
— Memo, FountainPen — 10 min read
万年筆を愛用する理由
ここ数年万年筆を主な筆記具として使い続けている.
愛用しているのはセーラー万年筆の Profit Standard で
インクはオーソドックスな Blue ないし Blue Black をいろんな
メーカーのものを買って試し・・という感じ.
https://sailor.co.jp/product/11-1219/
僕の思う万年筆のいいところは次のとおり.
- 高級感がある
- インクを足せばずっと使える
- インクの色を変えられる
- 書くのに力がいらない,したがって疲れにくい
僕は 2.
が大事だと思っている.
僕は IT 業界でエンジニアをしているわりに,根っこの部分がアナログ人間で
あるらしく,ノートをとるのが好きだ.
業務でログなどを含めたメモを作るときは別途 Markdown エディタとかを使う
けれども(その話はここで書いた),ちょっとしたアイデアの断片や
会議時のメモなどは記述の自由度の高さから手書きを選ぶことが多い.
あるいは,詰まったときにとにかく考えをひねり出すときは,「書く」という行為に助けられることが
あるので,ノートと筆記具はもはや生活必需品といえる.
さて,そんなわけなので,これまでいろいろペンや鉛筆,シャープペンを 使っては替え,使っては替えしてきたのだけれども.その一例としてフリクションペンを挙げる.
フリクションペンはいっとき流行って今や市民権を得た感がある.
僕もだいぶ使っていた時期があって,ペンらしい書き味と消せる安心感が合わさって
気に入っていた.
ただ,フリクションペンを使っていると,週に一回はインクが切れてしまって芯を替える
必要があった.今はわからないのだけれども,インクの減りが早いんだよね1.
切れた芯はそのまま捨てるしかないので,なんだかエコじゃないなぁ・・というのもあり,
もっとインクのもつペンに切り替えてしまった.
いくつかボールペンを変遷してのち,総じてインク切れて芯を新しいのに替えないと
いけない,というのが僕にとってはストレスフルである,という結論に達した.
・・もっとも,万年筆もカートリッジ式で運用する場合は同じ問題が起こるんだけど.
だので,僕にとって万年筆を使う際は,コンバータ利用が前提となる.
コンバーターとカートリッジ ~両用式万年筆を上手に活用しよう~
http://shumibun.jp/basic/detail/525/
万 年筆の選び方はいろんな人が記事書いてたり,最近は YouTube で動画出たりしているので
そういうのを使って事前知識を仕入れた上で,売り場に行って試し書きをしてみるのがいい.
僕が人にオススメするなら,次のような感じか.
- 日本語を多く書くなら日本のメーカのものを
- 長時間,書きものをするなら字幅は細すぎないほうがよい2
- 見た目が気に入ったらそれを
最後の 見た目が〜
というのは身も蓋もない話なのですが,
そもそも万年筆の品質はまともな品物であればほぼ変わらないと思います.
というのも原理的には 毛細管現象により,インクを紙に流し込み,染み込ませる ことで
ものを書いていく仕組みなので,よっぽど握った感じや使い勝手が自分にあわないもので無い限り,
現代であれば大差はなさそう.
ただ,洋物メーカのものを買って日本語がうまいこと書けなかったり(細かい理由はいまだによくわからないのですが・・)
という経験はあるので,ペン先の加工技術の差異はあるかと思う.
それはでも,ボールペンでハズレ芯をひいたときのように「全然出ない・・」レベルの差異ではないので
使っていて自分の納得のいく格好いいものを選ぶのがよいかな,と.
万年筆の仕組み ~インクをスムーズに送り出す内部の秘密~
http://shumibun.jp/basic/detail/478/
原理の話が出たので 4.
についても触れる.
インクを紙に流し込むかたちになるので,鉛筆やボールペンのように紙に圧力をかける
必要が一切ない.万年筆はペン先をあてるだけでものが書ける.
これは長時間ものを書くときに実感できるんだけども,本当に手が疲れない.
僕はノートを書くとき,A4 ノート 10 ページぶんくらい一気に消費することもちょいちょいあるけれども,
手,腕に残る疲労感は驚くほど少ない.
なにせ握力とかいらないので.
腱鞘炎になりやすい人には結構おすすめだと思う.3
筆圧の強い人は,万年筆に移行するなら最初はちょっと慎重に書いたほうがよいかもしれない.
最後に万年筆のあまりよさげでないなぁと思っているところも書いておく.
- 人に気軽に貸せない
- 定期的に掃除などメンテナンスが必要
- インクはこまめに補充が必要
- 新しい万年筆,インクが定期的にほしくなる
とくに 4.
がもっとも深刻だ.
実際のところ,メインの一本だけがあれば全く困らないのだが,
姿見のよい新製品とか名品と呼ばれるものの特集やら広告やらを見ると,
そぞろ物欲が湧いてくる.
実によろしくない・・.
インクに関して はインク沼なんて言葉まである.4
https://friday.kodansha.co.jp/article/70837
IT みじんも関係ない話だったが,万年筆を愛用して 2 年ほどたったので,why? なところを掘り下げてみた次第.
Footnotes
-
ぱっとぐぐってみたら,そう言ってる人はちょいちょいいた.
https://bamboo-apple.blogspot.com/2012/09/blog-post.html
https://www.karingo-blog.com/entry/2017-02-28-223753
https://ttb100.net/5744.html
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/10560049.html
おしえてGoo の回答でフリクションペンの時はめっちゃ消したり書いたりしてますから、普通のボールペンと単純に較べることはできないと思います
というのがあって, これは確かにちょっとあるかもしれません. ↩ -
人の好みによるので,一概には言い切れませんが・・.
https://ippin.pen-house.net/sailor-nib/
参考になる記事や動画もかんたんにみつかるので,自分の好みにあいそうなものにアタリをつけて試してみるのがよさそうです.
僕はセーラーの M を愛用してますが,EF も使い分けています. ↩ -
と適当に書い てからググったら,本当に腱鞘炎対策で万年筆に切り替えました って人が結構いる. ↩
-
次の Blue インクどうしようと目下悩みに悩んでいる.
現在使っているのは iroshizuku の asa-gao だが,これは vivid な色合いがとってもよかった. ↩