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名刺代わりの小説10選

Diary5 min read

Twitter で面白そうなハッシュタグがあったので・・

ちょっとやってみた.
非常に蛇足だが,一言ずつコメントを書いておく.
なお,これまで 2-3 度以上再読して一定ぼくの人生に影響を与えたものから選んだ.

トレーン,ウクバール,オルビス・テルティウス

ボルヘスの「伝奇集」に収められる一篇.
架空が現実を侵食していくさまが整然と不可逆に進行していく.この異常経験は他ではあまり体験したことがない.

賭博師

ドストエフスキーがさまざまのしがらみから逃れるために欧州を転々としていた時分に,のちの妻に速記させた中編.
四大長編や地下室の手記,死の家の記憶といった作品ほどの迫力はないが,登場人物が片っ端からギャンブルに狂って順番に破滅していくさまや,途中の人間模様,最後の大勝負など,これぞドストエフスキーな魅力が凝縮されていておれは好き.

文字禍

山月記も好きなんですけど,なんかいかにも粘土板に刻まれたざらついた文字を読み解いていくかのような空気感をまとったこっちの小品のほうがより好き.

氷の城

物語と言葉の美しさから.
原文は読めない代わりに,これは英語版も買ってきて英語読めないのに読んだ.

寒山拾得

小説の書き方みたいなところで,「寒山拾得」はぼくのお手本みたいな作品である.
終始ユーモアを混ぜ込みつつ,物語はきびきびと進行し,多分に読者の想像力を逞しうする部分を残してある.そして,結局,寒山拾得のふたりの具体には立ち入らずに(本来であればそっちが本筋のはずなんだけど),唐突に話が終わる.
これが小説じゃないなら,単に説明不足なのだけれども,これは小説であるし一体ぜんたいこれはなんなのさ?と呆然とする読者はそれ自体が鷗外の狙った読後体験なんだろう.

ある男

平野啓一郎は「日蝕」から「葬送」「決壊」「空白を満たしなさい」「マチネの終わりに」等全部おすすめなんですが,現代に生きる日本人のアイデンティティみたいなところに切り込んだ本作を推したい.

地球の長い午後

人間の想像力の極北だと思う.

宇宙からの色

H.P.ラヴクラフトは全部読むのが望ましいと思っているのですが,個人的に好きなものを.

ブギーポップは笑わない

ラノベ枠.
貴子潤一郎「眠り姫」,渡瀬草一郎「空ノ鐘の響く惑星で」と迷って,自分が影響を受けたものということでやっぱりこれということにした.
SAO もちょっと検討した.

笹まくら

人生への影響という点で,文学部に行こうと思ったのは中学の時分に丸谷才一を読んだからで一作入れないとなと.
笹まくらは代表作.丸谷が多分に影響を受けているであろうジョイスとバフチンを真面目に読みはじめたのは 35 を過ぎてからなので遅いにもほどがある.