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PBL活動発表を終えて

PBL17 min read

オンライン成果発表

AIIT の 2020 年度 PBL 最終成果発表を無事に終えることができたので,一年間,俺と PBL メンバおつかれってことで さして内容のないふりかえりメモを更新する.

このメモはだいたい,次のようなことに言及する.

  1. PBL 最終成果発表とは
  2. PBL 活動でやったことの雑なふりかえり
  3. さぁてこのあとどうしよ

PBL 最終成果発表とは

PBL がなにかについては,大学の HP にくだくだしく書いてあるのでそちらを参照いただきたい.
https://aiit.ac.jp/education/pbl/

つまるところ,修士論文を書く代わりに,それに匹敵する内容の活動をチームで通年通して行い,次のようなコンピテンシー能力を 涵養する.

  • コミュニケーション能力
  • 継続的学修と研究の能力
  • チーム活動

学生が自主的にテーマや内容を決定し,進めていくので,大学のゼミとは異なるのだが,一般に PBL と言ってあまり 通じないので,俺は会社で同僚に説明するときには「ゼミのようなもの」と雑に説明していた.

で,俺の 2020 年という一年は 1/3 くらいこの活動に費やされたわけだが,その結果報告を行う機会が今日の最終成果発表だった.
なんとか無事に終わったかなぁ,と思う.当初は例年通りに東京国際フォーラムで実施するという話だったが,COVID-19 そして再度の 緊急事態宣言の発令に伴い,予定が二転三転し,最終的に修士二年生と教員のみのオンライン開催に落ち着いた.
朝 10 時前にわらわらと Google Meet に接続し,そこから各 PBL チームによる発表が続く.

去年のものを思い起こすと,時間オーバーしかけて途中でマキを促されたチームや質疑が収集つかなくなって強制終了になったチームなど けっこうハプニング続きだった記憶があったが,とくにそういったトラブルもなく,どのチームも恙なく発表を完了できていたと思う.
実施した側だから,という見方になってしまうが,あれはどのチームも去年の発表を見て「これはヤバいぞ」ときちんと何度も練習をして 準備を行ったゆえなのではないかと思う.

俺はというと,前日にきちんと寝て早めに起きて心の準備をして・・とやって失敗した記憶しかなかったので, 前日は朝方 4 時くらいまで会社の突発飲みの二次会に参加してくだをまき,稍寝不足気味のまま当日に挑んだ.
おかげで心の余裕がまったくないまま本番を迎えた.
事前にリハは重ねておいたので,練習どおりの結果が出せたかなとは思うんだけど,褒められたもんじゃないよね.だいたい寝坊したらどうするんだよ.

PBL 活動でやったことの雑なふりかえり

なにを思って大学院にはいったかという話は SpeakerDeck みてもらえばいいかなと思うんだけど.

結果としては――,というあたりも含めて雑にメモしておきたい.

よかったか悪かったかでいえば,僕の人生にとっては非常にプラスな 2 年間だった.
単純に自分のスキルを整理するいい機会になったし,アジャイル開発やスクラム手法を勉強しなおすきっかけにもなった. 正直,今の会社でスクラムマスターを名乗って働いているというのは,2 年前の自分に言っても信じないだろう.

PBL 活動では次のようなことをやった.

  • リーンをもとにプロダクト考案・検証
  • スクラムの実践(開発・エンハンス)

当初,「とりあえず顔合わせしますか・・」という及び腰な感じで集まった PBL チームメンバに先生は まぁなにしてもいいよ みたいなノリで,「とりあえずアイデアベースでチラシでも作ってみれば?」とおっしゃる感じで PBL がスタートした.
チラシとは,思いついたアイデアを仮想顧客にアピールするためのチラシである.
俺は開発者が共同で操作できる TeraTerm みたいなものを書いたような気がする.
もうこの時点(2020/03 半ば)で,世間は徐々に COVID-19 に侵食されてきていて,当然,我々の顔合わせもオンラインでした.他のメンバは わりとオンラインでコミュニケーションをどうとるには?というテーマが多く,最終的に弊 PBL のテーマもオンラインでのミーティングでの 議事録生成ツールにおちついた.他のチームもオンラインを意識したものが散見されたので,来年度以降の PBL テーマもオンラインでのコミュニケーション に注目したものになるんではなかろうか.

ともあれ,リーンを使い何度も何度も PMF するプロダクトとは・・みたいなことを議論し,友人とかに頼み込んで Google Slide で 適当に作り込んだ紙芝居デモをインタビューさせてもらい,またその結果でプロダクトの可能性みたいなのを議論し・・という感じで あっというまに 4-5 月は溶けた.
これ,実業でやってる起業家の人はほんとすごいな,と今でも思っている.(でも,これはものづくりに大事な視点なので,擬似的にでもエンジニアは 体験し,知見としてもっておくのがいいんじゃないかなぁ)

スクラムをじっさいにまわしてみると,バックログは全然落ちないし,最初のスプリントは連続で失敗するし,と 散々だった.教科書的にはスプリントは失敗することもあるみたいなことが書いてあるが,なんのことはない, スプリントはチームが真剣に取り組まないと絶対に失敗する.
で,8 月には中間発表という,PBL の途中成果を発表するイベントがあるので,それまでになんとか動くものと半年の活動成果を とりまとめないといけない.正直,7 月入るまでわりと真剣になにも動いていなかった.けっこう焦りました.

中間発表が終わると,大学的には夏休みという扱いになる.
我々の活動も一区切りというわけで,いったん開発のペースを落として本の輪読会を行ったりした.読んだのは 「エンジニアリング組織論への招待」です.この数年で俺は思考のベースがだいぶすげかわっていて,エンジニアは 組織論などのヒューマン的なところもきちんと抑えとくべきだと考えている.そもそもエンジニアリングという言葉の範疇なのでね.
輪読会というのはファシリテーションが難しくて,機械的にじゅんぐりに読ますだけならまぁいいんだけど,読んだ内容を咀嚼するのに かかる時間というのは人それぞれなので,それを織り込んで時間内に一定の合意レベルに持っていく難しさみたいなものを感じた.
connpass とかで輪読会してる人たちってこのへんどう扱ってるんだろう?

夏休みも終わると,後期なにしよう? という話になった.
次の売れそうなプロダクト作ろうぜという機運もなくもなかったが,前期でばたばた作ったものをきちんとメンテしていこう という話に落ち着いて,CI/CD パイプラインをちゃんと作り込もうとなった.
ただ,正直,CI/CD を見越したテスト設計や GitOps 設計をしたことのある人間がいなかった1 のと,既存コードが わりとフリーダムだったので,これをテストできるようにしたり, GitHub Actions や CircleCI,GCP と連携できるように したりがそこそこ苦労した.
もうこの際なので書いてしまうと,あまり満足な出来にはならなかったのだけども,未経験者ばっかり集まって最初からうまくいくはずも ないので頑張ったほうだろう.これ以上の品質を目指すなら,外部から詳しい人を招聘してレビューしてもらう,などが有効だと思う.
個人的には今後も考えるとぜひ知見を貯めていきたい領域ではある.

冬の入り口あたりで明らかにメンバのモチベーションがタコの紐が切れたようになってしまって,これを最終発表を どうにかやりきる状態に戻すのに結構苦労した.2
この頃,実業がわりと忙しいメンバが何人かいたのと,正直なところ,プロダクトが最低限動いて CI/CD もできていたので PBL の成果発表を考えると,もう見せるものは最低限あるのだ.「これでよくない・・?」というムーブが働くのを止めるのは 難しい.
これはもう人間のことなので,あえて停滞期としてそのまま乗り切る感じになった(というか,ならざるとえなかった,というべきか). こういう状況になったときに,スクラムメソッドは有効に使えると思う.つまり,「ともあれ,ゴールを定めてスプリントはやりきろう」 である.
最悪なのはチームの進捗がとまってしまうことなので,これをスクラムにのっとってやってるんだから,となにがなんでも最低限は歩かせるのである. ここはスクラムマスターの腕の見せどころである.俺がうまくやれたかどうかはさておいて.

年明けからの最終発表に向けてのラストスパートは,またチームの士気が戻ってきたこともあって,うまくすすめられたと思う.
PBL では,スクラムロールをスプリントごとにイテレーションしてたんだけど,俺は年明け以降は開発チームメンバとして最後の 仕上げのところをあれこれ担当した.
成果発表でみせるために,最後のほうは思い切った機能追加のようなことは出来なくて,いかに見栄えで攻めるかみたいなところが 中心になった.こういう方針は開発者受けはあまりしなかったりするんだけども,スプリントゴールを設定して,これにフォーカスする を一年続けることで,自然と「まぁそうだよね」な納得感をチームで共有することが出来ていたように思う.
蓋し,こういうところがスクラムの最大の効用なんだろうな,と思いつつ,今のチームはこれで解散なのでちょっと名残惜しいような気持ちでいる.

さぁてこのあとどうしよ

しばらく全然出られてなかった外部の勉強会に出たり,社内でスクラム広める活動にもうちょい時間割いたり,といった あたりが目下のところ思いつくところ.

とは別に,AIIT では主にソフトウェアをいかに作るかというところを学んだんだけど,今回の PBL を通してプロダクトとか 経営とかもちょっと気になってきたので,そのへんにも幅を広げていくのも面白そうと思ったり.
スクラムマスターとして今後も活動していくことを考えると,当然スコープにはいってくることではあるし.

・・とはいうものの,いったん違ったことしようという気にもなっているので,ギター習いに行ったり, 直近買ったタロット占い勉強したりしようかなぁ.

Footnotes

  1. 正確にいうと,俺は何度か経験があるんだけど,うまくいったためしがないのでこの数年は完全に心が折れてた.

  2. 最終成果発表ではこんなことは絶対に言えない